■ 自分で食事をすることを学習する幼児について考えてみましょう。
食事は皿の上にあり、幼児はその食事を自分の口へ運ばなければならないことを知っています。
ところが、スプーンの扱い方はとても無器用です。初めは、幼児にできることといえばせいぜい食事をおよそ自分の口あたりへもってくることができる程度のことです。
しかし、幼児がその行為を正しくやり遂げるたびごとに、その情報が幼児の生体コンピュータのなかに蓄えられます。
過去のパフォーマンスの結果を生体コンピュータのなかにたえず再挿入しつづけることによって、幼児はとてもすみやかに効果的に自分で食事をすることを学ぶのです。
幼児はじきに二、三歳となり、ヨチヨチ歩きするようになります。
幼児はキラキラ光って目だつものを見つけて、それに引き寄せられます。
幼児は鋭利なナイフをつかんで傷つきます。
幼児は再度ナイフを不注意につかむようなことをするでしょうか。
そんなことはしません。幼児はフィードバックの機構を用います。
幼児には、過去のパフォーマンスの結果を生体コンピュータに再挿入する能力が備わっています。ナイフをつかんだ結果が血と苦痛だったので、幼児はこの情報を貯蔵します。
今度はちょっと違ったもう一つの例をあげましょう。
幼児がもう少し大きくなって、たとえば、五、六歳になったころ、クッキーを盗んでいるところを見つけられたとします。
盗みは禁じられていることなので、幼児はピシャリとたたかれます。
幼児はふたたびクッキーを盗むでしょうか。たぶん盗むでしょう。
今度は、フィードバック機構に二つの要素が含まれています。
一つはほっぺたの落ちそうなとても美味しいクッキーの記憶であり、他は痛いおしりの記憶です。
ところが今では、幼児の知能は十分に発達してもう一つの能力、つまり判断の能力を使用できるまでになっています。
著名なロシア人のパブロフは、ベルを鳴らすと同時に犬にえさを与えるという操作によって条件反射の原理を実証しました。
そのあとでは、えさは与えられなくても、ベルを鳴らすだけで犬に唾液を分泌させることができました。
パブロフが実証したのはフィードバック機構だったのです。
「ベルが鳴る」という情報が犬の生体コンピュータに再挿入されたときの犬の過去経験の結果は、満腹でした。
だから唾液分泌が起こったのです。
フィードバックを用いなければ、歩行するために足を交互に前に出したり、水を飲むためにコップを口にもっていったりするようなごく単純な目標の達成すら不可能です。ほんとうに、不可能なのです。
あなたが今日までフィードバック機構をどのように用いてきたかによって、あなたが職業上いかに成功してきたか、またどのくらいの金銭を稼いできたかが決まったのだということをあなたに確実に納得させることができます。
これからどのようにして用いるかによって、今年、来年、そして残りの生涯にどれくらいの金銭が稼げるかが決定されるのです。
この機構の用い方によって、ゴルフ、テニス、ボーリング、あるいはその他の関係したあらゆる活動をうまくやれるかどうかが決まるのです。
私たちを身体的および情動的破局に遭遇しないように守ってくれているのはこのフィードバック機構のおかげです。
脳を健康にする
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